サヨンの鐘

初めてサヨンの鐘(現、宜蘭県南澳郷)、を訪れた。
台北花蓮はいつも電車なので、蘇花公路も初めて。
http://ja.wikipedia.org/wiki/サヨンの鐘

ごく簡単に書けば、日本統治時代サヨン、という原住民の娘が、出征する日本人恩師のために下山時の荷物運びを手伝った際、不幸にも悪天候により事故に遭い命を落とした。これが美談となって、鐘が建てられ、渡辺はま子の歌も流行歌となり、さらに総督府全面協力の映画が撮影されることとなる。

ちなみに今ある鐘は当時のものではなく、場所もお土産売り場の陰に隠れて全く目立たない。しかも出遅れたために日が暮れて、連れてきてくれる人がいなかったら、間違いなく通り過ぎていた。

http://www.youtube.com/watch?v=6h6Gpfl8VsM&NR=1
http://www.youtube.com/watch?v=G54YpWBhp3I
(コメント欄にコメントを寄せている方に拠れば、このレコードは台湾でのみ入手可能だったとあります。
当時の状況はわからないけれど、内地外地を問わずヒットしたとある歌でも、そんなものなのかしらん。)


台湾へ来る前に観た映画「サヨンの鐘」は面白くて、図書館の映像ブースでひとり、女優李香蘭のスケールの大きさに感動したのを覚えている。あの赤ん坊のおぶり方、アヒルや豚の扱い方、はち切れそうな笑顔!心身ともに健康そのもの、といったイメージは健気な「蕃社の娘」を演じるのにぴったりだった。
優秀な国策映画を観るたびに、当時自分が子どもだったら、こういう映画にすっかり夢中だったかもと思う。愛国少女だったかもしれない自分を思えば、つくづくちゃらんぽらんに生きられる今が幸せだ。