若葉萌える。

光。

「木の芽時」とよくいうけど、たて続けに訃報をうけて外へ出れば、緑の濃さと紫外線の強さがかえって沁みる季節なんだな。
中学の英語の先生はまだお若くて、特に激しく勉強したわけでもないのに当時の成績がこの時ばかり上がったのは、まぎれもなく先生のおかげで。影響される程のおつきあいはないのに、自然体、こういう先生もいるんだなって。結局先生っぽくない先生しか、覚えていない。

近所のおじいさんは、わたしたちが物心ついてからずっと「おじいさん」で、何かの後遺症でものすごくゆっくりしか歩けないのに、残酷な小学生はおじいさんを「牛歩」って呼んだりしてた。門前に咲いた木が白い花をたくさん落として、夜家の前を通ると光って見える。ひとつづつ帰りに拾って帰る。ホームセキュリティーを強化したのか、コンクリ塀に急に「警戒中」のシールを何枚も貼っているのが気になった。

もうすぐ父の命日。